サン・ポール・ド・ヴァンス Saint Paul de Vence

*こちらのページは、観光ガイドの代わりとすることが目的ではなく現地ガイドの経験から便利で役に立つ情報を提供できたらという思いから作りました。

*お勧めのレストランやお店に関するコメントはステファニーの個人的な意見です。

サン・ポール・ド・ヴァンスは、私の好きなコートダジュールの村のひとつです。カーニュ・シュル・メールの海辺から内陸へ7kmの海と山の間にあって、ニースとアンチーブの間、ニースから20kmアンチーブから17 kmに位置し、村からは海と山が見えます。

☆サン・ポール・ド・ヴァンス« Saint-Paul de Vence »  の名前の由来

2011年3月まで正式にはサン・ポール(Saint-Paul)というのが村の名前でした。キリスト教で最も人気のある聖人の一人の名前で、フランス国内で60ほどの村や町にこの名前がついています。村の名前が正式にはSaint-Paulだった1940〜50年代に、サン・ポール・ド・ヴァンスという名前で、歌われたり、詩に書かれたりしていました(ジャック・プレヴェールやシャルル・トレネなど)。サン・ポール・ド・ヴァンス(Saint-Paul de Vence)と呼ぶと近くにヴァンス(Vence)という町があることが思い起こされますし、詩人にとっては韻が踏みやすかったのではないでしょうか。サン・ポール・ド・ヴァンス(Saint-Paul de Vence)というアーチストによって一般に知られるようになった名前は 、2011年3月22日の省令で正式に自治体の名前となります。

☆歴史

古代ローマ時代から(現在墓地のある)Plateau de Puy に防衛施設が築かれます。丘の高い位置にある旧Saint Michel du Puy教会と城の近くにだんだんと人々が移り住みサン・ポールの地が生まれます。

portevencebd中世には、地域を治めていたプロヴァンス伯はサン・ポールに数々の特権を与え、14世紀には地域の中心的な場所となります。ニース伯は1388年にサン・ポールをサヴォア家に属させ、プロバンスの東の国境が再び引きなおされます。サン・ポールは国境にある重要な防衛の地となり、14世紀の後半には壁を高くします。現在でも当時の名残として、石落としが残っているVenceの扉とEsperonの塔を見ることができます。

16世紀にはイタリア戦争の政治的状況からフランソワ1世が町の防衛を強めることにし、1538年にサン・ポールを訪れ新しい城壁を建設することになります。当時最新式の城壁の作り方で、城壁の4つの角に頑丈な突角部である稜堡(りょうほう)があるのが特徴的です。

chagallbd17世紀のサン・ポールはバロック芸術の時です。17世紀から18世紀にかけて、ヴァンスのアントワーヌ・ゴドー司教によって宗教活動が復活します。教会は、祭壇画や見事な家具で飾られます。同時に軍事的役割も継続して持ち続けます。

19世紀には、画家たちがサン・ポールを発見します。1920年の初めに画家たちがやってきて、豊かな色や光に魅せられます。ポール・シニャック、ラウル・デュフィやシャイム・スーティンも村でキャンバスを広げます。1911年にカーニュからヴァンスまでのトラムが開通しサン・ポールも経由していたため、画家たちはアクセスしやかったと言えるでしょう。このトラムのおかげでサン・ポールの農作物をニース、アンチーブ、グラースへ輸出することができるようになります。画家であり収集家で小ホテル「ロビンソン」(1932年にLa Colombe d’Orとなる)の持ち主のサン・ポール出身のポール・ル宅に画家たちはよく集まります。その時から、壁は彼らの絵画で飾られています。マチスやピカソなどの他の画家も先駆者にならいサン・ポールへやってきます。

20世紀は、俳優、詩人、作家などがサン・ポールにどんどん集まってきます。詩人で映画作家のジャック・プレヴェールがサン・ポールに15年ほど住んでいたため、映画監督たちもこの村に惹かれることとなります。訪れるだけの人たちもいますが、アメリカの作家のジェイムズ・ボールドウィンは17年、マーク・シャガールは20年ほどサン・ポールに定住します。

☆観光案内

ruellebdおしゃれなお店がいっぱいで、夏の暑い日でも比較的涼しく歩きやすい路地

サン・ポール・ド・ヴァンスの村の中心には、他のコートダジュールの村々と同じように車で入ることができませんので、村の入口の駐車場に車を止めて歩いてまわることになります。雰囲気はかなりエズと似ていて、夏の間はたくさんの観光客や観光バスで賑わっています。お店はエズのよりもおしゃれで、何よりも歩きやすいと思います。道は、縦に長く坂道が少ないです。狭い路地は夏の暑い日には比較的涼しいので歩きやすいと思います。とてもシックで素敵なお店やギャラリーがたくさんあって、絵画や洋服、ファッションの小物類、アクセサリー、プロバンスの食料品、装飾品などが買えます。村を見て回る時間は短くて1時間ぐらいでしょう。エズを見て回るのは短時間で済みますが、サン・ポール・ド・ヴァンスでは半日や一日過ごすことも可能です。冬の間もいくつかのお店は開いていて、楽しむことができます。

Cchagallシャガールのお墓

アートがお好きな方は見逃してはいけない村です。
マーク・シャガールが、サン・ポール・ド・ヴァンスに20年間ほど住み、村の墓地にはシャガールのお墓があります。墓地に入ったらすぐに右に曲がり、一番奥の並びの左側にあります。入り口にある地図で確認されてから行かれるとわかりやすいと思います。シャガールはユダヤ人だったので、お墓の上にはお花ではなく小さな石が供えられています。シャガールの二番目の奥さんのヴァランティーヌ・ブロツキー(ニックネームはヴァヴァ)も一緒に眠っています。

fondationbd20世紀の絵画や彫刻、グラフィックアートのヨーロッパ最大のコレクションを所有するマーグ財団美術館

マーグ財団美術館も近代・現代アートがお好きな方にはとても興味深いと思います。ヨーロッパにおいて20世紀の絵画や彫刻、グラフィックアートの最も大きなコレクションを所有している私立美術館のひとつです。マーグ夫妻が全面的にアイデアをだし出資して、スペインのカタロニア地方の建築家ホセ・ルイ・セルトと、画家や彫刻家、陶芸家が協力して建物や自然の中に溶け込んだ作品(ジャコメッティの中庭、ミロの迷路、シャガールのモザイク、ブラックのステンドグラスとモザイクを敷き詰めた池など)を作り上げ1964年にオープンした他にはない美術館です。現代画家としては、黒田アキなどの作品が展示されています。サイトはこちら
美術館のブティックでは、マーク・シャガールやジョアン・ミロのオリジナルのリトグラフなどが販売されています。詳細はこちら

(2012年9月現在)入場料 : 14 €、10歳以下の子ども: 無料 、写真、ビデオ撮影 : +5 €
10月−3月: 10時-13時 / 14時-18時、4月-6月 : 10時-18時、7月-9月: 10時-19時
入場は閉館の30分前までです。
アクセス:“Colombes d’or”のある村の入口から村の外に出て、15分程度青い「La Fondation Maeght」とかいてある看板に従って坂道を上がっていくと自然の中にあります。もしくは、ニース空港付近から乗れるヴァンス行きの655番のバスで「(St Paul) Village」のひとつ手前「Fondation Maeght」で降りて徒歩すぐ。ヴァンス発ニース行きの655番のバスに「(St Paul) Village」から乗るとひとつ目のバス停が「Fondation Maeght」です。

placebd_1「オランジーナ」のCM撮影ロケ地

日本でもサン・ポール・ド・ヴァンスはよく知られているようです。日本の元アナウンサーが結婚式を挙げたり、フランスのジュース「オランジーナ」のCMが撮影されたりした場所でもあります。このCMが撮影されたカフェはとても有名なカフェです。ペタンクというフランス発祥の球技をしている人たちの姿がカフェから見えプロバンスの雰囲気がよく出ているので、数多くの映画も撮影されています。CMはこちらでご覧になれます。

また、フランスの俳優イヴ・モンタンがよく通ったカフェや住んでいた家があります。

☆ステファニーのお勧めレストランは

村の入り口にあるコロンブ・ドール(La Colombe d’Or)が村とても有名です。たくさんのアーティストは絵画やデッサンをレストランに置いていったので今でも見る事ができます。残念ながら食事は以前に比べると評判ではありませんが、テラス席はとても快適です。詳細はこちら

村の入り口の左側にあるLe Tilleulもオススメです。Le Tilleulは菩提樹という意味で、菩提樹の下のテラス席はとてもここちがよいです。何品か注文してシェアもできます。私はここのボンゴレスパゲッティ、リコッタチーズと野菜のラザニアが好きです。サンポール産の数限定のワインも飲めます(注文できる量にも制限があります)。詳細はこちら

アラン・ロルカ(Alain Llorca)が村の出口にあります。ミシュランガイドで1つ星です。レストランから見える村の景色がびっくりするぐらい素敵で、食事もおいしいです。詳細はこちら

・ホテルは

村の中ですと、ル・サン・ポール(Le Saint Paul, relais et chateaux)の部屋から見える村の景色はとても奇麗ですし、何よりも心もこもったサービスが受けられ自分の家に居るような気持ちになります。食事もとてもおいしいです。詳細はこちら

村の外ですと、ホテル ラ グランド バスティード(Hotel la grande bastide Saint Paul)があります。村まで無料のシャトル(素敵なシトロエン2CV)がでています。 詳細はこちら

・カフェは

ペタンクをしている人たちのいる村の入口にあるカフェのテラスが雰囲気があります。夏にはロゼかお好きな方(通な方)はパスティスを!

・お勧めのお土産

一番のオススメはla Maison Godetの香水です。サンポールの香料会社で3代目のお孫さんの娘さんが継いで経営されています。地域の花と果物を原料に作られた希少な香水を作られています。トゥレットシュルルー村産のスミレ花の香水や、サンポール産のオレンジの花の香水”voyage à saint Paul”(サンポールへの旅)など素敵な香水があります。

村の中には他にも素敵なお店がたくさんありますのでお好みの品が見つかるのではないかと思います。

マイ コートダジュール ツアーズは、ルノワールの家、ロザリオ礼拝堂、サン・ポールツアーを運行しています。

サン・ポール・ド・ヴァンスでは1時間フリータイムを設けています。詳細はこちら

☆アクセス

バス:ニース市内発直通のバスはなくなったので、トラムで空港近くまで行き、NICE PARC PHOENIXのバス停からか、空港のターミナル1から徒歩15分程度にあるバス停«Aéroport Promenade»から655番のバスに乗って行くことになります。ニース市内からは、下の電車とバスを乗り継いで行く方法もあります。

電車:最寄りの電車の駅はカーニュ・シュル・メール(Cagnes sur Mer)です。

・カーニュ・シュル・メール「Cagnes sur Mer」SNCF駅のバス停「Square du 8 mai」から655番Vence行きのバスに乗り「(Saint-Paul) Village 」下車 所要時間20分程度 バスの本数は30分から45分ごとに出ています。こちらのHP上で655の時刻表をPDFで見られます(2023.10月現在)。

・パリからTGVの場合は、最寄り駅はアンチーブ(Antibes)かニース(Nice)駅です。

「Cagnes sur Mer」SNCF駅まではローカル電車(TER)でAntibes駅から13分程度、Nice駅からは16分程度

ローカル電車(TER)の時刻表はこちら

TGVの時刻表はこちら

サン・ポール・ド・ヴァンス観光局 サイト 英語版はこちら