ヨーロッパを彩る祭典:ニースのカーニバル
南仏ニースで毎年開催される「ニースのカーニバル」は、リオ、ベネチアと並ぶ世界三大カーニバルの一つと称され、フランス最大級のイベントです。毎年2月中旬から約2週間にわたって開催され、国内外から100万人以上もの人々が訪れます。
歴史と進化:中世から現代へ
カーニバルの歴史は中世にまで遡り、その語源は「肉を断つ(断食)」を意味するラテン語「carne levare」に由来すると言われています。キリスト教の四旬節(断食期間)が始まる前に、人々が心ゆくまでご馳走を食べ、歌い踊り、陽気な日々を過ごす習慣が祭りの始まりでした。
現代のニースのカーニバルの礎が築かれたのは1873年。地元出身のサエトン氏が「祭り委員会」を設立し、フロート(山車)のパレードや有料観覧席の導入など、より大規模で組織的なカーニバルへと発展させました。アレクシス・モッサとその息子グスタヴ・アドルフが手掛けた独創的でグロテスクなフロートは、ニースのカーニバルに唯一無二の個性を与え、その後の「王様」のフロートの進化にも大きな影響を与えました。
毎年異なる「王様」をモチーフにテーマが決められ、その年の世相や出来事を反映した巨大なフロートが街を彩ります。
カーニバルの見どころ:光と花の饗宴
ニースのカーニバルの最大の魅力は、その壮大なパレードです。
- 巨大なフロートのパレード:
マセナ広場を中心に、長さ12m、高さ8〜16mにも及ぶ巨大なフロートが、その年のテーマに沿った物語を表現しながら行進します。伝統的な紙と小麦粉で作られたものから、鉄材や自動仕掛けが施されたものまで、時代とともに進化し続けています。世界各地から集まった1000人以上のミュージシャンやダンサーもパレードを盛り上げます。 - 夜のイルミネーションパレード:
夜には、フロートがネオンで美しくライトアップされ、幻想的な雰囲気の中でパレードが行われます。昼間とは異なるロマンティックな魅力を放ちます。 - 花合戦 (Bataille de Fleurs):
マセナ広場周辺で行われる、ニースならではの華やかなイベントです。美しく花で飾られたフロートに、奇抜な衣装をまとったカーニバルの女王たちが乗り込み、観客に向けてミモザ、ガーベラ、アイリスなどの花々を投げます。観客は投げられた花を奪い合い、会場全体が華やかな「花合戦」と化します。このイベントで使われる花の80%はコートダジュール産であり、地元産業の振興にも貢献しています。
観覧と参加のヒント
- チケット: マセナ広場やプロムナード・デ・ザングレの一部の観覧席(指定席)は有料です。立ち見エリアもありますが、有料の場合が多いです。事前にオンラインや観光案内所での購入をおすすめします。早めの予約で割引がある場合もあります。
- 仮装: 昼・夜のパレード(花合戦を除く)では、全身仮装をしていくと立ち見エリアの入場料が無料になる特典があります。
- 持ち物と服装: パレード中は、観客同士で紙吹雪やパーティスプレーをかけ合うのが伝統的な楽しみ方です。多少汚れても良い服装で参加しましょう。特に子供たちは、この「いたずら」を大いに楽しみます。
- スリ対策と時間: 大勢の人で賑わうため、スリには十分注意してください。セキュリティチェックに時間がかかるため、開始の1時間前には会場に到着することをおすすめします。
宿泊・航空券: カーニバル期間中は、航空券やホテルの予約が非常に取りにくくなります。早めの手配を心がけましょう。
ニースのカーニバルの公式サイト:https://www.nicecarnaval.com/en/
ニースのカーニバルと同時期にマントンのレモン祭りも行われています。