Menton イタリア一番近いフランスの街、マントン

「フランスの真珠」と称される、レモンの町マントン。

コートダジュールの最も東、イタリアとの国境にほど近いこの町は、険しい山々に囲まれ、モナコとイタリアの間に位置します。普段の人口はおよそ3万人ですが、夏には8万人以上の観光客が訪れる、人気の町です。

マントンの歴史

「フランスの真珠」と称されるこの町の起源は定かではありませんが、11世紀頃に現在の旧市街地となる丘の上に要塞都市が築かれ、その後、海岸沿いに新たな村が発展しました。

12世紀にはジェノヴァのヴェント家が領主となり、14世紀半ばにはモナコ公国のグリマルディ家の支配下に入ります。17世紀には、モナコ公オノレ2世によって町の防衛のための要塞が建設され、港町としての基盤が築かれました。

19世紀半ば、マントンは自由都市を宣言してモナコから独立します。そして1860年、フランスへの帰属を選択し、正式にフランス領となりました。

19世紀後半からは、温暖な気候が避寒地として人気を呼び、イギリスやロシアの王侯貴族や芸術家がこぞって訪れるようになります。ヴィクトリア女王や作曲家のリスト、彫刻家のロダンなどの著名人が滞在したことで、マントンは高級ホテルや豪華な別荘が建ち並ぶ、格式高いリゾート地として発展しました。

しかし、2つの世界大戦でマントンは戦禍に見舞われ、病院として利用されたり、占領下に置かれたりする苦難を経験します。戦後、着実に復興を遂げ、1960年代には再びコートダジュールを代表する観光地としての地位を確立しました。

奇跡のマイクロクリマ!マントンが誇る特別な気候
マントンは、まさにミクロ気候(微気候)に恵まれた場所です。周囲を険しい山々に囲まれているおかげで、西からの風はアジェル山に、北や北東からの冷たい風はアルプス山脈の支脈にしっかりと遮られます。

この自然の守りによって、マントンの冬は驚くほど穏やかで、年間316日もの晴天に恵まれています。気温が0℃を下回ることはめったになく、1月の平均最低気温は11.3℃と、コートダジュールの中でもひときわ温暖です。

そのため、ヤシの木やレモンの木はもちろん、バナナの木やジャスミンといった亜熱帯植物が一年を通して豊かに育ちます。街を歩けば、その温暖な気候がいかに特別か、肌で感じていただけるでしょう。

しかも夏場も、7月と8月の平均気温は25℃前後。海からの心地よいそよ風が吹き抜け、避暑地としても快適に過ごすことができます。

マントンの見どころ

マントンは、1991年にコートダジュールで最初に「芸術と歴史の町」として認定された、豊かな文化と歴史を持つ魅力的な町です。

歴史が息づく旧市街

港へと続く旧市街は、細い道が迷路のように入り組み、散策が楽しいエリアです。歴史的地区として保護され、活気に満ちた美しい姿を保っています。

丘の上の城跡は、現在墓地となっており、ここにはかつてマントンを愛したロシアやイギリスの貴族たちが静かに眠っています。旧市街の散策と合わせて、異国情緒あふれる墓地を訪れるのもおすすめです。

旧市街には、コートダジュールに現存するバロック様式建築の中でも特に美しいと称される**サン・ミッシェル教会(Église Saint-Michel)**があり、その壮麗な姿は必見です。

ジャン・コクトーの世界に触れる

詩人、画家、映画監督として多才な才能を発揮したジャン・コクトーは、マントンを深く愛しました。町には彼の作品に触れられる場所が複数あります。

  • ジャン・コクトー美術館(コレクション・セヴラン・ワンダーマン) 2018年の洪水被害以降、メインの建物は現在も修復中ですが、セヴラン・ワンダーマン氏が収集したコクトーの貴重なコレクションは、ヨーロッパ宮殿内の「ガレリア・デ・ミュゼ」にて特別展示されています(2025年4月12日~2026年8月27日)。

  • コクトー美術館(要塞美術館) 海を見下ろす17世紀の小さな要塞の中にある美術館です。コクトー自身がデザインを手がけたモザイクや、毎年テーマを変えて行われる展示が楽しめます。

  • 市庁舎の婚礼の間 コクトーが1957年から58年にかけて、マントン市庁舎の結婚の間に手掛けた鮮やかな壁画と天井画は必見です。彼の芸術が市民生活に溶け込んでいる様を見ることができます。

癒やしの庭園巡り

マントンは「花の町」としても知られ、19世紀にイギリス人植物学者たちによって造られた素晴らしい庭園が今も数多く残ります。花栽培が盛んなこの町は、フランスの「花の町」に与えられる最高級の「4つの花」ラベルを受賞し、2008年には最高の「金の花」賞も授与されています。

  • ジャルダン・セール・ドゥ・ラ・マドン (Jardin Serre de la Madone) 1920年代に造られた歴史ある庭園で、世界中の珍しい植物が約700種も集められています。現在も修復作業が続けられていますが、見学は可能です。

  • ジャルダン・デュ・ヴァル・ラメ (Jardin du Val Rahmeh) 国立自然史博物館が管理する広大な植物園で、700種以上の熱帯・亜熱帯植物がコレクションされています。2025年は開園150周年の記念の年です。

市庁舎の婚礼の間
コクトーは、1957年から58年の間にマントンの市庁舎の結婚の間の壁と天井にカラーの大壁画を作りました。

マントンで楽しむイベント

マントンで最も有名なイベントといえば、やはりレモン祭り(Fête du Citron®)です。毎年2月から3月にかけて開催され、街中がレモンやオレンジで作られた巨大なオブジェで彩られます。ニースのカーニバルとも同時期なので、両方楽しむことも可能です。

レモン祭りの詳細については、ぜひこちらの記事をご覧ください。

この他にも、クリスマスシーズンには、街中でイルミネーションやマルシェが楽しめる心温まるイベントが開催され、冬のマントンを彩ります。

マントン周辺の見どころ

マントンの周辺には、美しい景観と歴史が息づく魅力的なスポットが点在しています。

  • 鷲の巣村(Perched Villages) マントンに近い沿岸地域には、急峻な崖の上に築かれた「鷲の巣村」と呼ばれる中世の村々が点々と並んでいます。バロック様式の教会やロマネスク様式の礼拝堂、石畳の小道、アートギャラリーなど、歴史的な建築と芸術が融合した独特の雰囲気が魅力です。 特に、標高225mの岬の上に位置するロクブリュヌ・カップ・マルタン(Roquebrune-Cap Martin)は、20世紀から王侯貴族や著名人の隠れ家として有名です。他にも、サント=アニェス(Sainte-Agnès)、ゴルビオ(Gorbio)、カステラール(Castellar)、カスティーヨン(Castillon)などの村々があります。

  • メルカントゥール国立自然公園 アルプス山脈の中腹に広がる広大な自然公園です。手付かずの自然が残り、ハイキングやトレッキングに最適です。

 

 

 

 

 

 

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リンク

マントンの観光局のサイト