鮮やかな柑橘の祭典:マントン レモン祭り (Fête du Citron® Menton)
ニースから電車で約30分のイタリア国境近くに位置するマントンは、温暖な気候と豊かな柑橘類の栽培で知られる美しい街です。ここでは毎年2月中旬から3月上旬の2週間、世界でも類を見ないユニークな祭典「レモン祭り (Fête du Citron®)」が開催されます。
レモンやオレンジなどの柑橘類をふんだんに使って作られた巨大なオブジェが街を彩り、パレードを繰り広げる光景は、マントンでしか見られない圧巻のスペクタクルです。ニースのカーニバルやモナコのF1と並び、フランスの重要なイベントの一つとして、国内外から多くの観客を魅了しています。
マントン産レモンの秘密:希少性と特徴
マントン産のレモンは、鮮やかな黄色と卵形の特徴を持ち、その希少性が知られています。一般的なレモンに比べて、一本の枝に多くの実をつけることができ、果汁が豊富です。特筆すべきは、そのまろやかで甘みのある酸味と、皮に含まれる豊かなエッセンシャルオイルです。
一時は栽培が衰退しましたが、市や農協の支援により再生され、現在はマントン周辺(マントン、ロクブリュヌ、サント=アニェス、カステラールなど)で年間約200トンものレモンが生産されています。これは限られた量であり、非常に価値の高いレモンとして扱われています。環境に配慮し、化学物質を使わずに天敵昆虫を利用するなど、生物農薬による栽培研究も進められています。
レモン祭りの歴史:柑橘から生まれたお祭り
レモン祭りの始まりは1895年。冬の観光を盛り上げようとしたホテルの経営者たちが、街の活性化のためにパレードを提案したのがきっかけです。当初はカーニバルのような形式でしたが、マントンが世界一のレモン生産地となった1929年以降、柑橘類をテーマにした展示や、パレードへのレモンとオレンジの登場が始まりました。
そして1934年、マントン市が主催する「レモン祭り」が正式にスタート。巨大な柑橘オブジェの制作や、夜のパレード(コルソ・ノクチュルヌ)など、年々進化を遂げ、現在の世界的な祭典へと発展しました。
マントン レモン祭り ハイライト
レモン祭りは、例年2月中旬から3月上旬にかけて開催されます。具体的な日程とテーマは、例年秋頃に公式発表されますが、ここでは過去の傾向に基づいた主要な見どころをご紹介します。
- テーマ: 毎年新しいテーマが設定され、それに沿った巨大オブジェが制作されます。
- 「金の果物のパレード」 (Corsos des Fruits d’Or):
レモンとオレンジで作られた色鮮やかな巨大オブジェのフロートが、海沿いの「プロムナード・デュ・ソレイユ」を練り歩く、祭りのメインイベントです。昼間に開催されます。 - 「夜の光のパレード」 (Corsos Nocturnes):
夜には、光に彩られたフロートが登場し、幻想的な雰囲気の中でパレードが行われます。終了後には花火が打ち上げられることもあります。 - 「柑橘オブジェの展示」 (Exposition des Motifs d’Agrumes):
ビオヴェ庭園(Jardins Biovès)では、何十トンものレモンとオレンジを使って作られた、テーマに沿った壮大なオブジェの数々が展示されます。日中いつでも見学でき、写真撮影にも最適です。 - 「光の庭園」 (Jardins de Lumières):
ビオヴェ庭園の展示が夜にはライトアップされ、昼間とは異なる幻想的な姿を見せてくれます。 - 職人(手作り)サロン:
祭り期間中には、マントン産の柑橘類を使った製品や地中海の手作り品が販売されるマーケットも開催されます。
マントンのレモン祭りと同時期にニースのカーニバルも行われていますので、同日に両方訪れることも可能です。ニースのカーニバルについてはこちらをご覧下さい。